KOBE ART MARCHE

Interview 22 / 熊崎益義

MASUYOSHI KUMAZAKI meets KOBE ART MARCHEMASUYOSHI KUMAZAKI meets KOBE ART MARCHE

今年で8周年を迎えるアートフェア「アートナゴヤ」。神戸アートマルシェと同様にホテルを会場に使った地方都市のアートイベントだ。このアートナゴヤのオーガナイザーを務めるのが熊崎益義さん。広告会社「トークン」の代表を務めながら、年に一度のこのイベントを盛り上げることに尽力している。
名古屋人には馴染み深いという『ホテルナゴヤキャッスル(以下キャッスル)』の客室ワンフロアで行われるアートナゴヤは、2011年から2015年までは夏の酷暑の中で開催。2016年からは初春に時期をずらしてこれまでイベントが行われてきた。2018年2月、アートナゴヤのオープニングにお伺いし、熊崎さんにお話をお聞きした。

Photo: shoko hara  Text: Shingo Mitsui / Yuki Teshiba

老舗ホテル×広告会社=アートフェア

どのようにしてアートフェアがスタートしたか教えてください。
私の広告会社のクライアントにキャッスルさんがありました。このホテルの企画として何かできないか、いろんな人に相談していたんです。すると「世界ではホテルを使ってアートフェアをやっているんですよ」と教えていただく機会がありました。それをキャッスルさんに話して「じゃあ、やってみよう」となったのがいきさつです。
広告会社を経営しながらこのイベントのオーガナイザーを務めるのは大変じゃないでしょうか?
そこにもいろいろ経緯があるんです。もちろんうちは広告会社なので、当初はホテルに企画提案をして、こういう運営の仕事を頂戴すると思っていました。しかし、キャッスルさんも全面協力するとおっしゃっていただいたので、自ら主催することにしました。それが2010年の話です。
ギャラリストの選定も熊崎さんが自ら選んでいるのでしょうか?
選定するのはなかなか難しいですよね。ギャラリストさんがアートフェアのご経験があるかどうか。どんな作品をもっていてうちのアートフェアとマッチするか総合的な面から考えて選定します。いろんな方からご推薦いただいたりもするのですが、最終ジャッジはあくまでも私で決めています。

大人が楽しめるアート

アートナゴヤはいつ頃から準備しているか教えてください。
基本的にはイベントやブランディングなどの広告の仕事をメインに行って、年に1回アートナゴヤのために動く感じです。もちろん数ヶ月前から準備にかかりっぱなしになります。前年の8月ごろには開催概要や出展ギャラリーの募集開始。10月には出展ギャラリーさんが決まって、それ以降は出展作品の情報を頂戴したり、印刷物を作ります。印刷物の配布は前年末にはやっておいて、年が明けたら本番という流れですね。
アート系のイベント運営などはされていたのですか?
今までアート系は手掛けてこなかったですね。基本的にはラグジュアリー系ブランドさんのレセプションパーティだったり、輸入車の展示発表会だったりの運営とかが多いです。
来場者の年齢層を教えてください。
一番多いのが40代から60代の方。アートオオサカさんみたいに街中にある駅のすぐ側ではなくて、名古屋城前という名古屋の人からするとちょっと離れたところにこの会場は位置しています。また1,000円の入場料を払う必要があるので、20代の若者というよりは大人の方が多いですね。うちは入場券を持っていればホテルの高級なレストランのお食事が会期中2割引で食べられる。それを楽しみにお越しになる方もいらっしゃいます。食事を食べてアートを楽しんでもらっていますね。

ホテルとの信頼関係、ギャラリーとの連帯感

出展ギャラリーや作品など、選ぶ上で気をつけている点などありますか?
基本的には私はアート界の人間ではないので、ギャラリーさんを選定できるような立場ではありません。でもイベントにはスポンサーさんも付いてくださっている。そういう意味でいえば、言葉が適当かどうかわかりませんが雰囲気を併せていただけるギャラリーさんを求めています。またどんな作品を出品するかに関しては、ギャラリーさんにお任せしてます。みなさんもいろいろ勉強されて、名古屋だからこういう作品を持っていこうだとか、傾向を見て考えていただいています。「アートナゴヤで初めてコレクターやファンが付いた」となると、毎年その作家さんの作品を持ってきていただいたりして大変心強いです。
長く続ける秘訣を教えてください。
ホテルさんとの信頼関係、ギャラリーさんとの連帯感。僕自身はアートに関して詳しくなろうという感覚はそんなにないんです。もちろん好きですし、地方に行けば美術館やギャラリーにも行きます。でもそういう専門的な勉強をしようという気持ちはありません。あくまでイベントの企画運営、心地よくその場を提供できるように頑張りたいです。そういう点がきちんとできていて、長く続くようになっているのであればうれしいです。

ラグジュアリーな時を過ごす3日間

アートナゴヤで試みたい企画やプロジェクトなどはありますか?
若手育成支援プロジェクトはやりたいと思っています。ホテルのフロントロビーには、フェア期間をはさむ1ヶ月間8点ほど作品を置いています。これはアートナゴヤのスペシャル展としてやってるんです。今回は出展されてるギャラリー所属の作家さんの作品ですが、いずれは大学生の作品にしようと思っています。名古屋にも3つ芸大があって、そこの学生たちの作品を支援していきたいと思っています。
最後に、アートナゴヤが考える今後の目標があれば教えてください。
1日ラグジュアリーな時を過ごせる3日間にしたいですね。僕はアートナゴヤを主催する上で、札幌以外の国内のアートフェアは全部見に行きました。一番初めに見たのが、香港のホテルフェア。理想的なラグジュアリー感がありました、VIPルームがあってお部屋でシャンパンを飲んでいたり。ギャラリストやアーティストとコミュニケーションをとりながら作品を買う。それはびっくりしました。アートナゴヤでは客室でシャンパンをふるまうことをOKにしていないので、いずれそれぐらいゆとりのあるものもやりたいと考えているんです。

ARTIST PROFILE

熊崎益義さん

1960年生まれ。株式会社トークン代表取締役。アートナゴヤオーガナイザー。大学卒業後、広告・ 広報の世界に身を置く。メディアプランニング、イベント・パーティプロデュースを中心にしながら、「プランニング」「プロモーション」「コーディネート」「コンサルティング」の仕事に携わる。2011年よりウェスティンナゴヤキャッスル(現ホテルナゴヤキャッスル)にてホテルのアートフェア「アートナゴヤ」をスタートさせる。

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