3F LOBBY

福田紗也佳

Sayaka Fukuda

  • 1987年 青森県生まれ
    2010年 岩手大学教育学部芸術文化課程 卒業
    2012年 筑波大学大学院人間総合科学研究科芸術専攻 修了

    [ ステイトメント ]
    人の営みを感じる場景のあらゆる時系列の断面をひとつの画面に閉じ込めることで、勃興と衰退を繰り返す生命的なサイクル向こう側に中立する何かを作り出したいと実際に訪れた場所の風景を中心に制作してきたが、もう少し明確にこの価値観が他者に伝わないかと模索していたところ、祖母が亡くなり実家に帰省し殯を見る機会があった。青森では殯という風習が形式のみ残っていて、棺を安置する場所を簡易的に作られた×印の置物を家の前に置くことがある。元々古代に行われていた葬儀儀礼で、本葬するまで長期間棺に遺体を仮安置し、別れを惜しみつつも遺体の物理的変化をもって死者の最終的な死を確認するものだったとのこと。上皇陛下も重い殯についてお気持ち表明されていたのを記憶している人も多いと思われる。令和になってまだ間もないが、平成で未解決のまま持ち越された問題はいよいよ速度を上げて降りかかろうとしている。ニュータウンなどは少子高齢化のために衰退していっているが、その様子が殯のようにも感じられる。よって作品に殯という概念を加えたなら、今までよりも明確に伝わるようになるのではと考え、画面に×印を組み込んだものを制作することとなった。この×印は、文字出現以前から儀礼などにも用いられ、海外においても十字架、太陽のシンボルなど象徴的なものに使われている。この概念を借用し中立した風景を描いている。