アートとは、“疳の虫”だと思ってます。赤ちゃんが夜泣きやかんしゃくで「わぁっ」て泣くようなことを疳の虫っていうんですけど、自分の中では、いらいらでも怒りでもないけど、何か放出したいというものを全部エネルギーにしてぶつけられるもの。音楽でも自分で作っているときは思いをぶちまけていいというイメージなんですが、そこからバンドメンバーとブラッシュアップしていくので、結果いろんな方との共同作業という感じです。でもアートの場合は、私一人きりでやっていく作業で、 自分とその作品との1対1で作っていけるので、すごく自由。立体のものやインスタレーションみたいなものだと色んな方と作っていきますが、作品自体は言葉に変換したりする必要がないので、自分の表現をぶつけやすいなと思っています。誰も介さないので自分の描きたいものをストレー トに表現できるし、集中が研ぎ澄まされて落ち着いています。何かに向けて描かなきゃいけない時は締め切りがありますが、基本的には描きたいと思った日に、そのままお家の中で絵の具を出して、一気に描き始める感じです。
音楽や女優をやったりしていると、突っ走り過ぎて時々周りの方を置いてけぼりにしたりしてしまいます。みんなが関わってひとつのものを作っているので、周りをバテさせちゃうと良くない(笑)。でも絵を描く時はそれを気にしなくていいので思う存分突っ走れる。だからすっきりするんです。特に絵を描く上でゴールを思い描いたことはないんですが、やっぱり自分の作品を見てくれた人の中に「わぁっ」と感情を突き動かせるものが作りたいという夢はあります。
衝動のままに
小さい頃から絵を描くのは好きで、幼稚園の頃からお絵描きしていました。節分の日にみんなで鬼を描いたんです。その時、「かっこいい鬼を描きたい」と持って黒い鬼を描いて、子供の絵が飾られる展覧会みたいなところに飾っていただけたこともあります。それがきっかけで人より絵が描くのが好きなのかなって思ってます。描く時は何か映画を見たり、作品を見たり触発されて「私も何かやりたい」という気持ちのまま、描くことが多いです。昨年末に自分が主宰するフェス「KAIWAフェス」っていうのを開催した時もそうです。自分で考えたロゴをプリントしてTシャツ作ったり、キャラクターを作ってLINEのスタンプをしましたが、いつも衝動でやっていく感じなんです。
兵庫県生まれ。女優、創作あーちすと。 アニメ映画『この世界の片隅に』で主役すずの声を担当。同作は第 90 回キネマ旬報ベスト・テンの日本映画ベスト・テン 1 位、第 71 回毎日映画コンクールの日本映画優秀賞、第 40 回日本アカデミー賞の最優秀アニメーション作品賞など多数の賞を受賞。 様々な広告キャンペーンにも起用される。また、音楽レーベル『KAIWA(RE)CORD』を発足し代表に就任するなど活動の幅を広げている。
のん率いるガールズバンド・のんシガレッツがライブツアーを開催。
9月6日・大阪、7日・広島、14日・福岡、26日・仙台。
30日には東京・日比谷野外音楽堂にて仲井戸麗市BANDをお招きしての共演が決定!